上書き保存はまだしない
歌詞
ラララ… まだ閉じないで
九月の朝が 窓を叩く
ラララ…
カーテン揺れて 秋が入り込む
昨日と少し 違う風の温度
机に残る 日焼けの境目
消したくないな この線だけは
チャイムが鳴って 席に着いても
心はずっと 波打ち際
上履きの音 響く廊下で
夏が一歩 遠ざかる
画面の端で カーソルが点滅する
「保存しますか」の 問いに指が止まる
Yes も No も 押せないまま
上書き保存は まだしない
この夏はまだ 開いたまま
君の笑い声も 花火の残り火も
名前をつけずに 抱えていたい
まだ しないよ まだ
九月一日 息を止めて
教室の匂い 少しだけ変わって
半袖の子が ひとりずつ減っていく
君は前を 歩き出してるのに
私だけまだ 八月に立ってる
黒板の日付が 進んでいく
追いつけないまま 秒針だけが
プールの水面 揺れてた光
瞼の裏で まだ光る
夕陽が長く 影を引き伸ばして
「もう終わったよ」と 誰かが言うけど
終わりって どこにあるの
上書き保存は まだしない
この夏はまだ 開いたまま
海の匂いも 溶けかけのアイスも
一行だって 消したくないんだ
まだ しないよ まだ
指先だけが 迷ってる
でもね 気づいたんだ
消えるんじゃない 重なるだけだって
何層にも 積み重なって
いちばん下で 君が息をしてる
塗り替えたって 透けてくる
あの日の青が 滲んでくる
だから押せる もう震えない
新しい行を 書き始める
上書き保存を いま押すよ
この夏はもう 閉じるけれど
消えたわけじゃない ずっと下の層で
あの日の光が 呼吸してる
大丈夫 きっと 大丈夫
九月一日 歩き出す
新しいページに 秋が降る
ラララ… また会えるよ
何度でも 開けるから
九月の朝に おはよう