先に切ってよ
歌詞
もしもし まだ 切らないで
23時58分 画面の端で
通話時間だけが伸びていく
話すことなんて もうないのに
「そっちは寒い?」って 三回目
窓の外 金木犀の匂いがして
夏の名残がまだ 喉に残ってる
明日も普通に会えるくせに
今日を終わらせたくないだけ
そっちが黙ると 心臓がうるさい
息の音だけで わかっちゃうんだよ
まだ いるんでしょ
先に切ってよ
わたしからは できないから
「おやすみ」の後の この数秒が
いちばん 好きだなんて言えない
先に切ってよ
でも切らないで って思ってる
矛盾のまま 秋になっていく
もう少しだけ もう少しだけ
半袖の腕 毛布に入れて
充電が10%を切っても
イヤホン越しの その低い声
ぜんぶ 保存しておきたくなる
友達だって 言い聞かせるほど
言い訳が 上手くなるだけだった
名前をつけたら 壊れる気がして
名前のないまま ここにいる
「じゃあ、また明日」 その「また」が欲しくて
どうでもいい話を また始めてる
ずるい わたしが
先に切ってよ
わたしからは できないから
「おやすみ」の後の この数秒が
いちばん 好きだなんて言えない
先に切ってよ
でも切らないで って思ってる
矛盾のまま 秋になっていく
もう少しだけ もう少しだけ
夏はもう しまわれて
言えなかった言葉だけが
季節外れのまま 残ってる
もし今 切れたなら
かけ直す勇気 あるかな
ううん たぶん
朝まで 既読をつけずに 泣くだけ
でも もし
そっちも同じなら
先に切ってよ
わたしが泣く前に お願い
「おやすみ」の後の この沈黙に
全部 入ってたよ わたしの気持ち
先に切ってよ
ううん やっぱり切らないで
好きって言えたら 秋が終わる
もう少しだけ あと少しだけ
……もしもし
まだ いる?