日向がちょうどいい
歌詞
九月の終わりの 十一時半
夏のあいだは ずっと
日陰ばっかり 選んで歩いてた
駅の階段 のぼりきったら
今日は 迷わず右側を選んでた
空が高くなって 風が軽くなって
やっと まぶしさが 心地よくなる
待ち合わせまで あと十分あるのに
着きすぎたのは 理由なんてないよ
薄い上着の袖を 二回だけ折って
日向がちょうどいい ねえ 今日の秋がちょうどいい
君の歩幅も 呼吸も ちょうどいい
あと三十センチ 詰めたいだけなのに
「この距離がちょうどいい」なんて
まだ 嘘つきのままでいる
夏の間しまってた 話題を
アイスの代わりに あたたかい缶で
ベンチの位置を 日向にずらして
そしたら君も 同じほうに座った
半分こした肩が 少し触れたまま
どっちも わざと 動かなかった
影が伸びるのが 前より早くて
夕方がすぐ来る それが少し惜しい
「遠回りしない?」って 先に言えたらいいのに
日向がちょうどいい ねえ この静けさがちょうどいい
話さない時間も 嫌じゃなくなった
金木犀が終わって 次の匂いが来る
季節はちゃんと 進んでいくのに
わたしだけ まだ立ち止まってる
夏のひかりは 強すぎて
君を まっすぐ見れなかった
まぶしさを 言い訳にして
ずっと 目を逸らしてたんだ
今の光なら 大丈夫
ちゃんと 見つめ返せる
ちょうどいいで 終わらせたくない
はじめて そう思った
日向がちょうどいい でも それだけじゃ足りないよ
あと三十センチ 今日こそ 詰めさせて
秋がこんなに 優しい理由は
たぶん わたしの背中を
そっと 押すためだったんだ
日向がちょうどいい 君の隣が ちょうどいい
ちょうどいいを 超えていきたい
もう 日陰は えらばない